プラハからベルリンへの鉄道の旅がはじまる
ジグザグの曲線を描く エルベ川に沿って
窓外を眺めながら 北へ向かう
川に反射する木々の紅葉を照らす 空を見上げると
不自然なほど直線を描いた飛行機ぐもが
次第に空と打ちとけて 消えてゆく
鳥たちも 見えない直線に導かれたかのように
同じ方向へ 南へと飛びたっていく
地上には羊とにんげんとヤギがいる
にんげんは 長い冬に備えて 裏庭でだんろ用の薪を切っている
知り合ったとなり席のにんげんは
家族との別れを悲しむベトナム人の大学生
一方 ひとりカフカの短編集を読みふけるにんげんは
相手との再会に 息ときめかせ こころづまる日本人
相手は無国籍なにんげん
再会はベルリンにて