ネクラな自分と戦った メキシコでの高校生時代
どこにいっても誰とでもやっていける!
そう勘違いしていた転勤族一家のコムスメは
生まれてはじめて
言語のちがい 人種のちがい 階級のちがいに戸惑った
ショックで肌が病気にかかり 2ヶ月学校を休んだ
「RIE」はスペイン語で「笑う」ことを意味する
「RIEはいつもRIEしてるね」と笑いながら言われても
スペイン語もろくに話せず ネクラになってしまった自分は
毎日精一杯RIEすることしか出来なかった
アジア人が殆どいない環境で
ガイジンどころか ウチュウジン扱いされるのがくやしい
大人しい日本人だと思われるのがくやしい
みんなが笑っている会話の内容がわからなくてくやしい
でも誰にも不快な思いをさせないためにも
空気のようにニコニコRIEするしかなかった
メキシコ人同士の交流は
シエスタからも 夕寝からも目覚めたあと
月に照らされる頃にようやくはじまり
延々とつづく
ともだちをつくるために 親に門限をなくす交渉をし
深夜過ぎのフィエスタに出かけていった
そこには裏庭で輪を作って踊るクラスメイトたちがいた
いつのまにか わたしは輪の真ん中で ひとり踊り狂っていた
メキシコ人もびっくりするような キテレツでワイルドな踊りを魅せつけた
わたしはRIEするだけの大人しい子じゃない
気付いて欲しい
あなたたちと一緒に遊びたい 仲間に入れてほしい
コトバを持たない自分の最大限の意思表示に
クラスメイトたちは歓声をあげ
喜んで私のおどりを真似しはじめた
その日から じぶんの中で何かが変わっていった
ダンスとの出会いは メキシコでのトラウマがきっかけ
踊るたびに あのときの起爆剤のようなフィーリングを
思い出さずにはいられない